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ズラノロンは早い抗うつ薬

  • 斎藤知之
  • 1 日前
  • 読了時間: 4分

ズラノロンは早い抗うつ薬

ズラノロン(zuranolone)が、2026年3月に日本国内で「ザズベイ」という商品名で発売されました。


ズラノロンはとても効果の早い抗うつ薬で、始めてから数日で効果が出ますし、投与期間は2週間で終わります。投与終了後もうつ病の症状はさらに改善していきます。


SSRIなどの主要な抗うつ薬は、2週間続けた後にようやく少し効果が出てきますし、その後も続ける必要があります。他の抗うつ薬と比べれば、ズラノロンのスピードは段違いであり、画期的な薬であることが分かります。


今までの抗うつ薬はセロトニンを介してうつ病を治療するという薬理作用でしたが、ズラノロンはGABA受容体に作用するというもので、作用機序が異なります。


この作用のためかもしれませんが、ズラノロンは不安を取る作用にも優れているようです。うつ病になると、意欲や活動が低下しますが、中には不安が強まる方もいます。ズラノロンは、うつ病で不安感が強まっている方に有効と言えます。


ズラノロンの副作用には眠気が多いようですが、途中で薬を中止するほど重いものではありません。そもそもズラノロンは2週間で中止するものですから、終わりが見えていれば多少の副作用には耐えられるという心理的な要素もあると思います。


引用文献:


引用した論文は、ズラノロンの2週間における効果と副作用を確認するものです。18歳から64歳までのうつ病患者さん534人にズラノロンまたはプラセボ(偽薬)を投与して、2週後にハミルトンのうつ病評価尺度で、うつ症状を評価しました。投与された薬が、ズラノロンか、効果のないプラセボ薬かは、ランダムに決まり、医師も患者もどちらの薬なのか分かりません(二重盲検比較試験です)。こうすることで治験の不正を防ぎます。


266人がズラノロン、268人がプラセボを投与されたそうです。


2週間後の評価では、ズラノロンが投与されたうつ病患者さんの症状は、プラセボを投与された人たちよりも、明らかに改善していました。これは統計学的に計算して意味のある結果でした。


しかも、投与3日目の時点で評価しても、ズラノロンが投与されたうつ病患者さんの症状は、プラセボを投与された人たちよりも、明らかに改善していました。つまり、ズラノロンは投与して3日で効果が現れることが証明されたわけです。


そして、ズラノロンの重い副作用の可能性は低く、安全で使いやすい薬と評価されたようです。従来の抗うつ薬の効果の遅さを改善したのは、大きなことです。


問題点としては、うつ病の再発です。他の抗うつ薬は半年から一年ほど続けることで、うつ病の再発を防ぎます。しかし、ズラノロンは2週間で終了するので、再発予防のため続けることができません。


ズラノロン投与後1年間にわたって追跡したSHORELINEと呼ばれる研究があります。これによると、ズラノロンで良くなった人の中で、1年以内に5割弱くらいの人が再発してしまうようです。ただし、再発してもまたズラノロンを使うことで改善するそうです。



この論文の概要は以下の通りです。


対象: 中等度〜重度のうつ病の成人患者


研究の方法:患者さんに最初にズラノロン(30mgまたは50mg)を14日間服用してもらいました。その結果、15日目にうつ症状(HAMD-17という評価尺度)が半分以上改善した人(レスポンダー)を対象に、その後最長1年間にわたって追跡調査を行いました。期間中にうつ症状が再燃した場合は、必要に応じて14日間の「再投与(反復治療)」が許可されました。


主な結果


必要な治療回数

1年間で「最初の1回」だけで済んだ人 

  • 30mg投与群:42.9%

  • 50mg投与群:54.8%

1年間で「合計1回〜2回」の治療で済んだ人

  • 30mg投与群:68.5%

  • 50mg投与群:79.5%


有効性

最初の14日間投与の翌日(15日目)の時点で、うつ症状のスコアが平均して約15〜16点と大きく減少しており、明らかな改善が見られました。また、「再投与が必要になった場合でも、初回と同じようにしっかり効果が現れた」ことが確認されています。


安全性と副作用

ズラノロンを服用した患者の約68%に何らかの有害事象(副作用)が見られました。しかし、その大部分は「軽度から中等度」のものであり、重篤な副作用は少なく、長期的にも安全に投与できることが確認されました。


他の抗うつ薬では、1年間続けることで、再発率を20〜30%程度に下げることができますから、ズラノロンの方が再発率は高いのかもしれません。ただし、再発したとしても、また2週間の再投与で改善するのですから、そこまで心配しなくても良さそうです。


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