社交不安症(対人恐怖症)
- 斎藤知之
- 2025年12月14日
- 読了時間: 4分

社交不安症(対人恐怖症、または、社交恐怖症、社会不安障害)とは人と関わる場面で強い緊張、不安、恐怖が出てきてしまう心の病気で、動悸や吐き気がすることもあります。コミュ症と呼ばれる人の中には社交不安症の方もいます。詳しく解説していきます。
目次
社交不安症の症状
社交不安症では、他人と関わる場面、人に注目される場面などでとても強い緊張、不安、恐怖が出ます。例えば、会議、上司とのやり取り、人前で話す時、たくさんの人が見ている前で食事する時などに不安・緊張感が強まります。
強い不安、恐怖、緊張感は、体の症状をもたらします。動悸、冷や汗、息苦しさ、手足の震えや痺れ、吐き気、腹痛、下痢などが代表的な体の症状です。これらは自律神経の過剰な活動による症状なので自律神経症状と呼びます。
また、社交不安症の人は思考パターンにも特徴があることも多いです。自分が人前でバカな失敗をしてしまうのではないか、余計なことを言って誰かを怒らせてしまうのではないか、うまく話せなくて恥をかくのではないかなどとマイナスの方向に考えてしまい、そうした考えがさらに不安を強くします。
こうした症状から、徐々に人前に出ることを避けたり、人と会話することを避けるようになります。これを回避症状などとも呼びます。人を避けてしまうので、友達を作ることは難しくなります。また、プレゼンテーションを避けるようになったり、会議に参加できなかったりすると、職場で困ることもあるはずです。人と接する場面を避けると、生活に大きな支障が出てしまいます。これが社会不安症の弊害です。
社交不安症になる年齢
社交不安症は、個人差はありますが、典型的には10代から徐々に症状が出てきます。ただ、社交不安症になっても積極的に治療を受けようと思う人は少ないようです。何年も症状に苦しんでから、ようやくメンタルクリニックに行くことを決意する人が多いのです。
社交不安症に似た疾患
広場恐怖症や全般性不安症など、他の不安症でも社交不安症と似た症状になります。ただ、複数の不安症をあわせもつ人は多いです。不安症はそれぞれ治療法が似ているために、不安症同士をあまり細かく区別しなくても問題ありません。
ただし、統合失調症という精神疾患でも他人の視線が怖いなど社交不安症と似た症状が出るため注意します。統合失調症は社交不安症と治療法が異なるため、しっかりと区別しなくてはなりません。
また、身体的な要因として甲状腺疾患などの鑑別も必要になります。
なお、ネットかいわいでは自閉症スペクトラム障害という発達障害の一種と、社交不安症が混同されることがあります。両者は全くの別物です。自閉症スペクトラム障害の人は、他者の感情や考えを読み取る能力が足りないのですが、それでいて人前で話すのが好きな方も沢山います。例えば、周りの空気を読まずたくさん話す方が典型例です。
社交不安症の治療
社交不安症の治療は薬を使う治療(薬物療法)と、精神療法(心理療法)に分かれますが、どちらも数ヶ月単位の時間が必要です。
薬は主にSSRI(Selective Serotonin Reuptake Inhibitor: 選択的セロトニン再取り込み阻害薬)という薬を使います。これはうつ病の治療薬と同じものです。まずは数週間かけてこの薬を増やしていきます。すると、数週間して徐々に効果が表れ、2〜3ヶ月で効果が安定してきます。SSRIは効果が出るのに時間がかかるのが難点ですが、依存性がないため使いやすい薬です。
社交不安症にベンゾジアゼピン系の抗不安薬を使う場合もあります。ベンゾジアゼピンは即効性のある薬ですが、依存性や眠気、集中力低下など副作用もありますので注意が必要です。
精神療法では、ネガティブな考えを修正してから行動を変えていく認知行動療法という治療が一般的です。この認知行動療法の中には、段階的に人と関わるとか、社交的な場面に慣れる練習をしていく暴露療法(ばくろりょうほう)という治療が含まれています。暴露療法は会話によるカウンセリングというより、トレーニングというイメージが合います。不安、緊張を抱く場面に繰り返し自分をさらすことで、その場面に慣れるという治療法です。ただし、あせって無理して失敗するとネガティブな記憶がついてしまい、かえって社交不安症が悪化してしまう可能性があります。これを避けるために、無理なく、あせらず、段階的にトレーニングしていきます。まずはとても簡単なことや、イメージトレーニングなどの負荷の少ない方法から始めてください。
また、強い緊張をほぐすことが大事なので、リラクゼーションはとても大切です。まずは深呼吸からやってみてください。
よりどころメンタルクリニック桜木町では、不安症・恐怖症の専門サイトを運営しています。社交不安症以外の不安症についても記載していますので、良ければご覧ください。
参考文献:



















