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不眠症・睡眠障害と睡眠薬

斎藤知之
1 日前
読了時間: 8分

更新日:24 時間前

睡眠薬について

不眠症(睡眠障害)の場合、まずは睡眠習慣の見直しをおすすめしますが、それでも効果が無い場合は薬の治療を検討します。最近は新しい睡眠薬がどんどん出てきています。ここでは睡眠薬の一覧を掲載しています。


なお、睡眠習慣の改善についての記事は以下のリンクからご覧ください。



目次


最初に睡眠薬だけでは解決しないものとして、精神疾患が原因の不眠や身体疾患による不眠について解説します。


精神疾患が原因の不眠治療


多くの睡眠薬を飲んでいるのに「睡眠薬が効かない」と言う方は、そもそも不安がとても強いとか、興奮が強いなどの悪い精神状態にあるのかもしれません。実は精神状態が悪いと睡眠薬が効きにくくなります。この場合、先に精神状態を改善しないと睡眠も改善しにくいです。


たとえば、うつ病や統合失調症などの精神疾患が悪化して不眠症(睡眠障害)となった場合、抗うつ薬や抗精神病薬などにより元の精神疾患を改善させると睡眠薬が効きやすくなります。これをせずに睡眠薬だけ使っても効果が弱いのです。


かなり多くの人に見られる誤解は「眠れないから、精神的につらい」「眠れないからうつ状態になる」というもの。本来の因果関係は逆であり、「精神的につらいから眠れない」「うつ状態だから眠れない」ということが多いです。まずは精神状態の改善を優先してください。


身体疾患による不眠


むずむず脚症候群(レストレスレッグ症候群)や睡眠時無呼吸症候群など、体の病気が原因で不眠、または過眠になることもあります。この場合も、まずは原因となる病気の治療から始めます。むずむず脚症候群(レストレスレッグ症候群)には専用の薬がありますし、貧血の治療により改善することもあります。睡眠時無呼吸症候群については、マウスピースやCPAPという呼吸補助具で治療が可能です。また、レム睡眠行動障害という、レム睡眠(夢を見ている時の睡眠)の時に、寝言を言う、体を動かしてしまうなどの症状が出る脳の病気もあります。パーキンソン病やレビー小体型認知症などの神経疾患ではレム睡眠行動障害も起きやすくなります。これにはメラトニン系の薬やクロナゼパムが有効です。


睡眠薬について


不眠の原因となる病気や精神疾患がある場合でも、睡眠薬を使うことはあります。また、精神疾患とはいえない程度の不安で眠れないこともありますから、その場合は睡眠薬だけ使うことがあります。睡眠薬について、以下に詳しく解説していきます。


睡眠薬の依存性


ベンゾジアゼピン系睡眠薬に依存性があることはだいぶ広まってきたと思いますが、最近は依存性のない睡眠薬がたくさん開発されています。


また、依存性があるものでも、覚せい剤程の強力な依存性があるわけではありませんから、過剰に心配することはありません。依存性のある睡眠薬は1ヶ月以上使うと依存性が出てきますが、時々使う分にはあまり心配しなくて良いですし、たとえ毎日使ったとしても、絶対にやめられないというほどのものではありません。


睡眠薬には30日の処方日数の制限が設けられているものと、そうでないものがあります。これは精神的な依存性や乱用のリスクにより判別されていますから、この処方日数制限により睡眠薬の依存性を大まかに判断できます。


30日処方制限のない睡眠薬


日数制限のないものには依存性が少ないものが多いです(リスミー、ベンザリンは例外です)。日数制限が無いからと言って無限に処方できるわけではなく、安全性を保つため定期的に医師の診察は必要になりますので、誤解ないようお願いします。以下に一般名と、かっこ書きで商品名を列挙します。


  • ボルノレキサント(ボルズィ):脳のオレキシン受容体に作用する薬の中では最も作用時間が短く、また、効果が出始めるのも早いという特徴があります。スッと効いてスッと切れるため、翌朝の持ち越しリスクが低いのが特徴で、依存性の心配もありません。早起きしたいや朝から車を運転する人にはうれしい薬です。新薬の14日制限が令和8年11月1日で解除されます。

  • ダリドレキサント(クービビック):脳のオレキシン受容体に作用する薬で、依存性の心配がありませんが、悪夢の副作用の可能性があります。作用時間は比較的短く、翌朝に残りにくいです。

  • レンボレキサント(デエビゴ):脳のオレキシン受容体に作用する薬で、依存性の心配がありませんが、悪夢の副作用の可能性があります。効果が比較的早く出て、また長く持続しますので、寝付けない人(入眠困難)、夜途中で起きる人(中途覚醒、早朝覚醒)に有効です。

  • スボレキサント(ベルソムラ):脳のオレキシン受容体に作用する薬で、依存性の心配がありませんが、悪夢の副作用の可能性があります。スボレキサントは効果が出るのに時間がかかるので、入眠の改善はあまり期待できませんが、中途覚醒、早朝覚醒など途中で起きてしまう人に有効です。

  • ラメルテオン(ロゼレム):メラトニンという体内時計を調整するホルモンに類似する働きの薬です。寝付けない人(入眠困難)に有効で、時間調整の役割があるのが特徴です。人によりますが飲んでも眠くならない場合も多いです。その場合でも、毎日同じ時間に内服することを続けると体内時計の調整が期待できます。依存性はありません。

  • エスゾピクロン(ルネスタ):唾液が苦くなるのが特徴ですが、依存性や副作用は比較的少ないです。寝付けない人(入眠困難)、途中で起きる人(中途覚醒、早朝覚醒)におすすめです。

  • リルマザホン(リスミー):なぜか処方日数の制限がありませんが、ベンゾジアゼピン系睡眠薬で1ヶ月以上の使用により依存性や耐性の問題が出てきます。作用時間としては短時間型ですが翌日持ち越す可能性はあります。

  • ニトラゼパム(ベンザリン):ベンゾジアゼピン系睡眠薬ですが、てんかんの治療に用いる可能性があるため、90日までの処方が認められています。他のベンゾジアゼピン系睡眠薬と同じく、1ヶ月以上の使用により依存性や耐性の問題が出てきます。作用時間は長いため、翌朝に持ち越しやすくなります。日中の眠気や、記憶力・集中力の低下のリスクがあり、車の運転は難しくなります。筋弛緩作用もありますから、睡眠時無呼吸症候群の人は病状を悪化させますし、お年寄りの場合は転びやすくなるリスクがあります。


30日処方制限のある睡眠薬


軽度でも依存性や乱用の危険性がある睡眠薬は、投薬期間が30日までという制限が設けられています。ただし、使い方に気を付ければ安全に使用できますので、心配しすぎないで下さい。また、制限がある薬は強い薬と誤解される人も多いですが、薬の強さは用量しだいで、薬の量を減らせば弱くなります。


  • アモバン(ゾピクロン):エスゾピクロンに類似する薬です。唾液が苦くなるのが特徴ですが、依存性や副作用は比較的少ないです。寝付けない人(入眠困難)、途中で起きる人(中途覚醒、早朝覚醒)におすすめです。

  • ゾルピデム(マイスリー):効果がとても短い薬で、主に寝付けない人(入眠困難)におすすめできます。個人差はありますが、夜飲んでも朝には切れているので、寝過ごす心配が少ないです。軽度の依存性があります。

  • 短時間型のベンゾジアゼピン系睡眠薬:ベンゾジアゼピン系には依存性があります。また、短時間型と言われるものでも翌朝に持ち越して眠気や倦怠感、記憶力・集中力の低下などの副作用が出る可能性があります。筋弛緩作用もあり、睡眠時無呼吸症候群の人は病状を悪化させる可能性があるので注意して下さい。お年寄りの場合は転びやすくなるリスクがあります。

    例:ブロチゾラム(レンドルミン)、エスタゾラム(ユーロジン)、トリアゾラム(ハルシオン)

  • 長時間型のベンゾジアゼピン系睡眠薬:こちらもやはりベンゾジアゼピン系ですから依存性があります。長時間型のベンゾジアゼピン系睡眠薬は、とても長く効くことが特徴です。ただ、翌日に残る可能性が増えます。そして、日中の眠気や、記憶力・集中力の低下のリスクがあり、車の運転は難しくなります。筋弛緩作用もありますから、睡眠時無呼吸症候群の人は病状を悪化させますし、お年寄りの場合は転びやすくなるリスクがあります。

    例:フルニトラゼパム(サイレース)、クアゼパム(ドラール)


睡眠薬以外で睡眠作用のある薬


以下の薬は睡眠薬ではないものの、睡眠薬として利用することもできる薬です。


  • トラゾドン(レスリン、デジレル):これは抗うつ薬ですが睡眠作用が強く、睡眠薬として代用されることが多い薬です。処方日数制限はありません。

  • クエチアピン(セロクエル):クエチアピンは色々な効果のある薬で、睡眠薬の代わりに使われることがあります。本来は第二世代抗精神病薬に分類され、統合失調症の治療に使われていますが、うつ病、双極性障害や不安症・恐怖症などにも効果があり、睡眠薬としても有効です。人によって翌日の眠気、血圧低下、立ちくらみ、めまいなどの副作用があります。

  • ミルタザピン(レメロン、リフレックス):これは抗うつ薬であり、うつ病の治療に使われます。持続時間が長い薬で、眠気が出ます。これを利用して睡眠薬として用いられることもあります。

  • アミトリプチリン(トリプタノール):これは抗うつ薬で、うつ病や不安障害の治療に使われます。眠気が出るので睡眠薬として使われることもあります。また夜尿症にも効能があります。


これら以外にも色々ありますが、代表的な睡眠薬は以上です。全て医療機関での処方が必要です。内科などでも処方可能ですが、不眠が長引く場合は専門となる心療内科や精神科で処方してもらって下さい。

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