ボルズィの日数制限解除
ボルズィとは
ボルズィ(ボルノレキサント)は、翌朝に残りにくく、スッキリと起きれ、依存性が生じにくい睡眠薬です。ボルズィの日数制限が2026年11月1日に解除されます。

落ち込んだり不安になったりすると、睡眠に影響が出ます。当院にも「眠れない」「途中で目が覚めてしまう」といった不眠のお悩みのご相談は多いです。そんな時に頼りになるのは、やはり薬です。今までの睡眠薬は翌朝に残ることや依存性が欠点でした。しかし、ボルズィはこれらの課題をクリアしました。
ボルズィは脳の「オレキシン受容体」に作用する短時間型の睡眠薬です。以下にボルズィについて詳しく解説していきます。
オレキシンとは
オレキシンは、いわば「脳の覚醒(起きる)スイッチ」を押すホルモンのようなものです。私たちが日中シャキッと活動できるのは、このオレキシンがしっかり働いているからです。脳にはオレキシンを受け取るアンテナである、オレキシン受容体があります。ボルズィは、このオレキシン受容体にフタをしてブロックし、覚醒スイッチをオフにすることで、眠くなる作用を発揮します。
従来の睡眠薬との違い
昔からよく使われている睡眠薬は、ベンゾジアゼピン系が主流です。ベンゾジアゼピン系の睡眠薬にはしっかりとした効果がありますが、1ヶ月以上使用すると依存性が出てきますし、薬が効きにくくなるという耐性も出てきます。作用時間が長過ぎるため「翌朝まで眠気が残る」という持ち越しも多く見られます。また、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は筋肉の緊張を緩める効果(筋弛緩作用)があるため「ふらついて転倒しやすい」といった副作用もしばしば問題になっていました。
そんな中、オレキシン受容体をブロックするタイプの睡眠薬(オレキシン受容体拮抗薬)がたくさん開発されました。ベルソムラ(スボレキサント)、デエビゴ(レンボレキサント)、クービビック(ダリドレキサント)は、どれもオレキシン受容体をブロックするタイプの睡眠薬です(どれも成分名の最後に「レキサント」がつきます)。ボルズィ(ボルノレキサント)もこれらと同じタイプです。
こうしたオレキシン受容体拮抗薬の特徴は、依存性や耐性が生じにくいこと、筋弛緩作用がないことです。これらはベンゾジアゼピン系睡眠薬のもつ欠点でした。ただし、これまでのオレキシン受容体拮抗薬には作用時間の長いものが多く、「翌朝まで眠気が残る」という持ち越しの課題は残っていました。クービビックの作用時間は比較的短いですが、それでも翌日に残る方はいらっしゃいます。
ボルズィには、作用時間がとても短く、さらに効果が出るスピードも早いという特徴があります。ここが、他のオレキシン受容体拮抗薬との違いです。薬の成分が「スッと効いて、スッと体から抜けやすい」ため、素早く眠りに入れるよう助けつつ、翌朝にはお薬の成分が速やかに減るように設計されています。このため、朝の不快な眠気やだるさ(持ち越し効果)が出にくいのがメリットです。
これは午前中に車を運転する人にとっても良い特徴になります。睡眠薬の効果が翌朝に持ち越されると、居眠り運転や交通事故につながるリスクが出てきます。今までは睡眠薬を飲んでいるため運転できない人が多くいました。しかし、ボルズィは翌朝に残りにくいため、朝から車を運転しやすくなります※。
普通、睡眠薬の説明書(添付文書)には、車の運転をさせないことと記載されています。しかし、ボルズィの説明書には、このような記載はありません。
ボルズィは新薬であるため、14日間の処方日数の制限がありましたが、2026年11月1日に処方日数の制限が解除されます。これからはボルズィを使う人は増えると思います。
※参考文献
ボルズィを10㎎飲んでも、翌日の午前中の車の運転に支障がないことを検証した研究論文です。このような論文ベースの情報は信頼できます。



















