精神科の倫理
- 斎藤知之
- 2025年12月11日
- 読了時間: 3分
更新日:2025年12月12日

精神科医療機関の倫理的な問題や法的なコンプライアンスが近年問題視されています。
たとえば、とある精神科病院で、本来入院しなくてもよい人を不当に強制入院させた事案があり、司法判断で不法行為だと認められました。国から不正に補助金をだまし取った精神科病院も最近報道されています。また、横浜市内の精神科病院でも、入院中に看護師による虐待があり、問題になりました。
私自身、横浜市内の精神科病院に勤めていたときに、何度かこうした倫理的な問題を目にしました。しかし、組織内で問題があっても、多くの人は見て見ぬふりをしてしまうものです。そのため、問題がなかなか明るみに出ません。誰かが告発しない限りは無くならないのが現実です。
私は数年前に横浜市内で精神科病院を運営する医療法人を告発したことがあります。正義感にかられての行動でしたが、その後に報復にあって大変苦労しました。結局、その医療法人とはいくつか法的紛争になりましたが、ようやく全ての紛争が2025年に終わり、こちらの主張が公的に正しいと認められました。大変でしたが、やはり正しい行動を続けてきて良かったと思います。
医療機関には社会的な責任がありますから、医療機関が法律を守るのは当たり前のことです。しかし、残念ながら、現実はそうではありません。精神科病院は閉鎖的で外部の目が入らないことが特徴です。このような閉鎖的な場所では、どうしても悪いことをする人が出てきます。人間には監視の目が必要です。悪事は明るみに出た後に適切に処分されるという環境を作らないと、悪事を防ぐことはできません。これからの精神科病院には、外からの目が大事になると思います。最近、精神保健福祉法が改正されたり、ピアサポーターという制度が生まれたりして、精神科病院に外部の目が入るようになってきています。まだまだ不十分だと思いますが、こうした取り組みが進むと精神科病院の問題が減ってくるはずですので、期待したいところです。
コンプライアンスの問題は精神科病院に限るものではありません。近年はいくつかのメンタルクリニックも問題視されています。当院のブログでもたびたび取り上げていますが、精神科での診療経験がない医師に精神科医として診療させたり、毎回同じ医師が対応する原則を無視して担当医をころころと変えたり、医学的根拠の乏しい自由診療をやたらと宣伝したりというメンタルクリニックが増えています。こうした倫理観に欠けるメンタルクリニックは都市部に多く、横浜市内にも存在します。このようなメンタルクリニックは、チェーン展開して大きく見せたり、口コミの評価を捏造したりして社会的信用を得ているため、患者さんが騙されていることに気づきにくいようです。メンタルクリニックの問題行動は適法の範囲内のものもあり、すべて行政が取り締まることはできません。しかし、このようなメンタルクリニックの問題が多くの患者さんの不利益につながることは明白であり、違法ではなくとも倫理的にはまちがっています。
このような精神科病院やメンタルクリニックの問題が続くと、それがたとえ一部の医療機関だとしても、精神医療全体が信用されなくなると思います。くりかえしになりますが、誰かが見ていないと人は悪いことをするものですし、罰せられなければ悪いことをくりかえすのが人間です。まずは、こうした問題を見ることから始まると思いますので、ブログで周知させていただきました。今後、誠実な精神医療が増えることを願っています。



















