抗うつ薬はどのくらい続けるか
- 斎藤知之
- 2025年11月9日
- 読了時間: 4分
更新日:2025年11月23日

抗うつ薬はどのくらい続けた方が良いのか聞かれることがあります。これについて以下に解説します。
目次
抗うつ薬とは
抗うつ薬とはうつ病の治療薬のことで、うつ病だけでなく、パニック障害、不安症、PTSD、強迫症など様々な精神疾患の治療にも使われます。
抗うつ薬を継続すると、2週間ほどで効果が少しずつ現れてきて、2ヶ月くらい継続すると効果がかなり安定してきます。よくある間違った抗うつ薬の使い方はつらい時だけ抗うつ薬を飲んだり、日によって用量を変えたりする不安定な使い方です。このような方法では抗うつ薬の効果がないため、毎日継続することが必要です。
抗うつ薬の継続期間
抗うつ薬にはうつ病の再発予防効果があります。うつ病は再発しやすい病気です。うつ病の治療で抗うつ薬を使う場合、うつ病の症状が無くなった後も(寛解した後も)、再発を防ぐために4〜9 ヵ月間またはそれ以上の期間、抗うつ薬を続けることが望ましいと考えられています。症状が無くなる前の段階を含めれば、抗うつ薬は1年前後は継続することが望ましいということになります。この理由は、そのくらいの長い期間において、うつ病が再発しやすいからです。さらに、うつ病が再発しやすい方は、再発を防ぐために2年ほどの長期間にわたり抗うつ薬を継続する方が良いと考えられています。
そもそも、精神症状とは再発しやすいものですが、うつ病も例外ではありません。いったん良くなったからといって抗うつ薬を中止すると、何ヶ月か経過したらまた同じ症状が戻ってきたという人はよくいます。このような事態を防ぐために、良くなった後も再発を防ぐため治療を続けます。これを維持療法と言います。
維持療法における抗うつ薬の用量は、抗うつ薬を一番多くした時の用量です。つまり、抗うつ薬は症状が良くなった後も用量を減らさず、維持療法中も同じ用量で継続し、維持療法を終える時に段階的に用量を減らしてから中止します。
どのような場合に抗うつ薬を使うか
一言にうつ病といっても人によって症状は異なりますし、軽いものから重いものまでさまざまです。Aさんのうつ病とBさんのうつ病が全然違うということは珍しくありません。うつ病の中で、再発が心配なケースは、症状がある程度重い方です。
うつ病の症状の重さは生活の障害の度合いで判断します。たとえば、うつ病の症状によって家事や仕事に支障があるかどうか、睡眠、食事、運動などの健康維持に必要な活動に異常がないかどうかなどが判断基準です。うつ病の症状により生活に一定の支障がある場合は、中等度から重度のうつ病と診断されます。
生活に大きな支障がないレベルの軽度のうつ病であれば、抗うつ薬を使わなくても良いと考えられていますが、生活にかなりの支障がある中等度から重度のうつ病の場合は、抗うつ薬を使って治療した方が良いですし、一度良くなっても再発を防ぐために抗うつ薬を1年ほど継続することが望ましいです。
自己判断の中止
医師からこうした説明を受けても、症状が良くなったら自己判断で抗うつ薬を中止する人もいます。確率論ですから、たしかに中止しても大丈夫な場合もありますが、うつ病の再発リスクは上昇しますので、自己判断による中止は危険なギャンブルです。抗うつ薬を中止してしばらくの間は問題なかったとしても、何ヶ月かするとまた以前同様のうつ病症状が現れてくることがあります。人によっては不安症状やパニック症状から再発する場合もあります。抗うつ薬を継続すると、こうしたリスクが避けられるのです。
もちろん、薬の効果は100%を保証するものではありませんが、リスクを増やすよりは減らす方が良いに決まっています。せっかく抗うつ薬が効いてきて、うつ病が治ったなら、再発を防ぐためにもしばらく継続する方が良いです。
抗うつ薬は中止できる
抗うつ薬に依存性はありませんから、最終的には段階的に減らして中止することができます。よくある誤解として、抗うつ薬を始めたらやめられなくなるというものがあります。これは間違いで、抗うつ薬は中止できる薬です。
不安が強い方は「薬に頼りたくない」と仰る場合があります。しかし、精神的に強くありたいのなら、抗うつ薬を使って早く症状を治した方が良いですし、再発を防ぐために一定期間は使い続けた方が良いのは、医学的に明らかです。抗うつ薬について過剰に心配せず、精神的に元気になることを優先してほしいと思います。



















