不安症とは
最近は「不安症」という病名が少しずつ広まってきました。不安症とは、以前は不安障害と呼ばれていたもので、強い不安が主体の心の病気です。不安症は大きなカテゴリーで、この中にはパニック症、社交不安症、限局性恐怖症(高所恐怖症など)、全般性不安症などが含まれます。ここでは不安症について詳しく解説します。

不安や恐怖は、危険から身を守るためにだれもが持っている自然な感情です。そのため、不安や恐怖をいだいたとしても、一時的なものであったり、軽いものであったりすれば、病気ではありません。たとえば、大切な試験やプレゼンの前に緊張したり、不安になったりするのはごく自然なことです。これは、失敗を防ぐために心と体が準備をしている状態(正常な不安)です。
一方、ただ電車に乗っているだけとか、普通の日常生活をおくっているだけなのに強い不安や緊張をいだくのは不自然です。このように不自然な場面で不安が強まり、日常生活や仕事、人間関係に支障をきたすようになると、「不安症」という治療が必要な状態である可能性があります。
強い不安や恐怖は体に反応を引き起こします。これは主に自律神経のはたらきによるもので、自律神経症状とも呼ばれます。ただし、自律神経そのものには異常はなく、あくまで強い不安による症状です。こうした体の症状・自律神経症状も不安症の診断に役立ちます。
代表的な体の反応(自律神経症状)
動悸
冷や汗
息切れ・胸の苦しさ
胃腸の調子が悪い(吐き気、下痢、便秘など)
肩こり、頭痛、筋肉の緊張
代表的な不安症の種類
不安症にはいくつかの種類があります。
パニック症(パニック障害):突然、動悸、息苦しさ、めまい、発汗などに襲われる「パニック発作」を繰り返します。同時に強い恐怖を感じるのが特徴です。多くの場合30分以内にパニック発作は収まりますが、またパニック発作が起きるのではないかという不安が続くようになります。
広場恐怖症:電車や人混みなど特定の場所に恐怖を感じたり、特定の場所を避けるようになることを広場恐怖症と呼びます(広場が怖いという意味ではありません)。パニック症と広場恐怖症が重なることが多いです。
限局性恐怖症(特定の恐怖症):高いところが怖い(高所恐怖症)、虫が怖いなど、特定のものに強い恐怖をいだくものを言います。
社交不安症(社交不安障害):人前で話す、初対面の人と接する、人前で食事をするなどの社交的な場面で、他人の視線が気になり、強い不安や恐怖、緊張を感じます。顔が赤くなる、声が震えるといった症状が現れ、次第に人と関わる場面を避けるようになります。
全般性不安症:日常のあらゆる出来事に対して過剰な不安や心配が半年以上続く状態です。「心配をコントロールできない」という感覚が強く、慢性的な疲労感や肩こり、不眠などを伴うことが多いです。
不安症の治療
不安症には、色々な種類があるものの、治療法はそれぞれあまり変わりません。主に以下の2つのアプローチを組み合わせて治療を行います。
薬物療法:不安症では、SSRIやSNRIなどの抗うつ薬を使用します。抗うつ薬はうつ病の治療薬ですが、不安症にも有効です。抗うつ薬を継続的に使用することで、脳の中にある不安や恐怖を感じる神経の回路が少しずつ穏やかになります。ただし、効果が出るまで数週間かかり、途中で中止すると効果が出ません。
精神療法:不安症の治療は、不安になりやすい思考のクセを見直したり、苦手なことを克服するために段階的なトレーニングを行います。これは認知行動療法と呼ばれますが、カウンセラーと話すというよりも、生活の中で経験をつむようなアクティブなものになります。
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