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心療内科・精神科の選び方

斎藤知之
2 日前
読了時間: 8分

更新日:14 時間前

心療内科・精神科の選び方

地域によっては心療内科・精神科のクリニック(メンタルクリニック、こころのクリニックなど)はたくさんあり、どこに行けばよいのか迷われる方もいらっしゃると思います。いまだにクチコミ業者が多く、参考になる情報が少ないのが現状です。


そこで、みなさまのご参考になればと思い、心療内科・精神科のクリニックを選ぶポイントについて解説します。私が患者として心療内科・精神科を選ぶならどうするかと考え、以下にポイントを並べてみました。これらは当院だけではなく、他の心療内科、精神科を選ぶときにも役に立つと思います。


なお、心の病気の専門家は本来「精神科」で、心療内科はストレス性胃炎などのストレスによる内科疾患が専門なのですが、世間では混同されているため併記します。以下、「心療内科・精神科」=「心の病気の専門家」とお考えください。


目次


①初診について


心療内科・精神科では、初診(最初の診察)が大事です。まずは初診がていねいなクリニックを選ぶ方が良いと思います。これについては一度受診してみないと分からないのですが、初診が不適切なところは転院を考えましょう。


心療内科・精神科の初診には時間が必要です。初診では、現在の症状だけでなく、過去の経過、症状の背景にあるストレス、生活状況、子供の頃の様子などを評価します。このため、初診は再診よりも時間がかかります。しかし、まれに初診の時間が10分程度と異様に短いクリニックや、症状のチェックシートのみで診断するようなクリニックがあります。これは不適切です。初診があまりに短い場合は適切な評価ができていない可能性がありますので、気をつけてください。また、初診で問診する時間は短いのに、全員に木の絵を描かせるというバウムテストをしているクリニックもありますが、これも不適切です。残念ながら木の絵では正しい評価は困難です。一般的に心理検査は精度が低いため、通常の診察の方がはるかに重要です。


②専門の医師


大手のクリニックやチェーン店では、科目不問で医師の求人を出しているところがあり、そこでは心の病気の専門ではない医師が働いています。たとえ内科や皮膚科の医師が心療内科・精神科の医師として診察していても、患者側はなかなか気づきません。これは法律上は問題ありませんが、患者側のリスクは大きなものです。


心の病気の専門の医師なのかどうか、患者側はどうしたら見分けることができるのでしょうか?


一度受診しないと分かりませんが、一つの良い方法は、「診療明細書」を見ることです。クリニックの会計では領収書だけでなく診療明細書を発行しますが、これに医師の専門性が書いてあります。通常なら、診療明細書に「通院精神療法」と書かれていて、通院精神療法の横にカッコ書きで「精神保健指定医」と記載されています。普通、心の病気の診療経験をもつ医師であれば、この精神保健指定医という公的な資格を持っています(小児医療や児童精神の医師の中には精神保健指定医を持たない医師もいるので例外とします)。もしも、会計時にもらう診療明細書に「精神保健指定医」と書かれていないなら、その医師は精神保健指定医ではないので、経験不足の可能性が高いです。


また、精神保健指定医に似た資格に専門医があります。心の病気、メンタルの問題を扱う専門医の正式名称は「精神科専門医」です。精神科専門医は、日本精神神経学会が認定している公的な資格になります。精神科専門医については、診療明細書に書かれていませんが、ホームページに書かれていることが多いので、ぜひ探してみてください。


専門医は医療情報ネット(ナビイ)でも調べることができます。医療機関は行政に定期的に情報を届出しています。このサイトでは、その行政への届出情報が公開されています。使い方は簡単です。医療情報ネット(ナビイ)で医療機関を調べると、医療機関のページの上の方にいくつかの項目が表示されます。そのうち「診療内容、提供保健・医療・介護サービス」という項目をクリックすると、ページ下段に「医療従事者の専門性に関する事項」という枠が表示され、そこに専門医の在籍人数が記載されています(厚労省に専門医について届け出ていない医療機関では「医療従事者の専門性に関する事項」という枠そのものが表示されない場合があります)。


横浜市内で精神科専門医のいるクリニックについては以下の記事にまとめてありますので、良ければご覧ください。




③初診も再診も同じ医師(主治医制)


心療内科・精神科では、初診で時間をかけて詳しい状況を聞いた医師が、再診も担当するのが基本です。医師は、初回と2回目の診察での経過を見て、診断を見直したり、治療について再評価したりします。しかし、初診とは違う医師が再診を担当するクリニックがあり、これは問題になります。「あなたのことをよく知らない」医師が再診を担当しては、診断や治療の評価ができず、信頼関係を築くのも困難になります。チェーン展開する大手のメンタルクリニックには、初診だけを担当する医師を雇っており、2回目の診察から医師が変わるところがあります。これでは良い治療が期待できません。必ず初診も再診も同じ医師が担当するクリニックに通院してください。


④話し方・態度


残念ながら、高圧的であったり、失礼だったりする医師は少なくありません。心療内科・精神科の診察では、患者側は本音やプライベートな内容を話さなければなりません。しかし、医師が高圧的で失礼だと、とてもじゃないけど本音やプライベートなことを話せません。礼儀正しく優しい医師を選んだ方が良いです。


⑤説明が丁寧


インフォームド・コンセントと言いますが、医療では、医師が診断や治療について説明し、医師と患者とが合意にいたってから治療するのが原則です。何も説明しないままに投薬したり、あなたが質問してもちゃんと答えてくれない医師は、インフォームド・コンセントの原則を無視しています。診察時間には限りがありますから、長時間の説明は難しいのが現実です。しかし、全く説明してくれない医師はおかしいので、このような医師に当たってしまった場合は転院を考えましょう。


⑥書類を断らない


医師法という法律があり、医師は正当な理由がなければ診断書や紹介状などの書類の発行を断ってはいけないことになっています。しかし、時々、これを守らず、書類の発行を拒否する医師がいます。書類には発行に日数がかかるものもありますから、ある程度の待ち時間は仕方ありません。しかし、書類を書こうとすらしない場合、その医師は最低限の法律を守っていないわけですから、医師としての適格性を疑います。


ただし、近年は医師に事実とは言えない内容の記載を求める人もいて問題になることがあります。虚偽の事実を診断書に記載することには違法性がありますので、そのようなことはお控えくださいますようお願い致します。


⑦通院したい日に予約が取れる


心の病気、精神疾患を治療するには何ヶ月、場合によっては何年もの時間がかかります。長い間通院が必要になるのですから、通院の予約が取れるかどうかもクリニック選びのポイントになります。また、通院のスケジュールを考えるうえで、生活と通院の両立を考えることも必要です。たとえば、平日の昼間に働いている場合、仕事の終わりに受診の予約ができるかどうか、仕事が休みの日に予約を入れられるかどうかが大事になります。あなたが予約したい曜日や時間に予約が取れるのかを確認しましょう。


⑧通院しやすい距離


長く通院するには、アクセスも大事です。あまりに遠くのクリニックでは、何度も通院するのは大変です。近所でなくても、通院しやすい距離にあるクリニックを選ぶことが大事です。なお、最近はオンライン診療を組み合わせることで通院の負担を軽くする取り組みも増えてきています。これは便利ですから利用するのは良いのですが、オンライン診療だけで治療が完結するクリニックは危険ですので気をつけてください。たとえば、投薬した後は副作用のチェックのために通常の診察や血液検査の確認が必要であり、これはオンライン診療だけでは不可能です。また、精神的な薬(向精神薬)の場合、オンライン診療だけで処方してはいけませんが、これを守らないクリニックが社会問題になっています。オンライン診療は、あくまで通常の診察に組み合わせて行うことが原則になりますので注意してください。


⑨生活の視点


心の病気は生活環境の影響を受けます。心療内科・精神科の医師は、診断を考える上で、患者さんの生活環境を確認して、症状が心因性・ストレス性なのか、内因性、生物学的な問題なのかなどを検討しなければいけません。また、治療する上でも、生活の問題を確認して対策を考えることが重要になります。症状の治療だけでなく、生活に寄り添って障害福祉サービスを組み合わせることを「包括ケア」と呼び、最近は重視されてきています。生活の視点で診断や治療を考えてくれる心療内科・精神科クリニックが安心です。


⑩障害福祉サービス


「生活の視点」の項目でも説明しましたが、特に、心の病気・精神疾患のせいで長い間ニートや引きこもりの生活となっている場合など、生活の障害が大きい場合、障害福祉サービスがとても重要になります。障害福祉サービスには、仕事のリハビリ施設など社会復帰を支えるものや、ヘルパー、訪問看護など自宅生活を支えるもの、障害年金といった経済的支援など色々とあります。心の病気・精神疾患向けの障害福祉サービスの専門家は、精神保健福祉士(精神科ソーシャルワーカー)です。もしもあなたが社会復帰を目指したいなら、精神保健福祉士がいるクリニックを選ぶのも良いと思います。たとえ精神保健福祉士がいなくても、医師が包括ケアの視点で障害福祉サービスを適切に案内してくれるなら、そこも良いクリニックだと思います。


以上が心療内科・精神科のクリニックを選ぶポイントになります。ご参考になれば幸いです。

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